家の話(主に北海道)

住宅業界に寄り添って20年、感じたことや知ったことを。ハウスメーカーから工務店まで、住みたい住まいを考えて。家の話をしましょう。

どうなる北海道のリノベーション

どうなるんでしょうか、北海道のリノベーション。


特に、新たに住宅を購入する際に新築に対する選択肢の幅として中古+リノベーション(orリフォーム)が提案されている状況はまだ遠いように思えます。
消費者も、業者も、リフォーム・リノベーションはすでに家を持っている人が行うもの、という認識がまだまだ払拭できていませんね。

そもそもなぜリノベーションの活性化が必要か?

日本中そうですが北海道でもどんどん人が減っています。
札幌こそ横ばいですが2020年にはピークアウトすると言われています。
それなのに未だに北海道では年間33776戸の住宅が新設されています。
ちなみに北海道の人口は2014年から2015年の一年間で31,387人減少、世帯数は10,789世帯減少しています。
スクラップ&ビルドの分ももちろんありますが、賃貸も含め「空き家が増えている」状況が容易に想像できると思います。
空き家の増加は地域コミュニティの不活性、景観、防犯、独居高齢者の安全など様々な問題に波及します。

この空き家問題を解決し地域の安定を図るために政府も小出しに対策を出しており、中古住宅再生はその重要な一翼を担っています。
当然壊しては建て、壊しては建て、もしくは北海道でもよく見られる辺鄙な場所にどんどん新興住宅街を作って味もなんにもない無機質な住宅街が延々と郊外に広がっていくなんていう無節操で全くエコフレンドリーじゃない現状を変革することもできます。

もちろんリノベーションを行えない住宅事業者は淘汰されてしまうでしょうがそこは企業努力のしどころでしょう。
とは言えリノベーションを普及させるにはまだまだいろんな壁が立ちはだかっています。



物件数が足りない!

空き家増えてるって言ったばっかじゃん。はい、そうなんですが実際足りないんです。正確に言うとリノベーションを行うに適正な物件市場に足りない、ということなんです。
そもそも北海道では状態と価格の釣り合いが取れた中古住宅が余り出回っていません。極端に古かったり、もしくはすでに(あまり質が高いとはいえない)リフォームが施され、その分価格がつり上がった物件が多数を占めます。

リノベが広まりつつある札幌でも現状は施工できるタマ数の関係で、戸建てリノベよりも圧倒的にマンションリノベが多いように感じられます。
そしてその札幌のマンションにおいてもまだまだ市場の拡大が遅れていて、出回る中古物件が何かしらリフォームされていたりリノベーションが施されていてるのが現状です。
原因パターンの大半が以下の通り。

A、売りたい持ち主さんが仲介業者に「古いままだと売れません、リフォームして売り出しましょう」とそそのかされるパターン。
B、買取業者が安く買った上でリフォーム施工、付加価値をつけて(利ざやを取って)再販。

もちろんこれらのビジネスを否定するものではありません、こうした需要もたしかにあります。
ただ、今後の中古不動産流通の活性化という側面を考えると、特に一次取得層の住宅購入に対して新築住宅を立てるばかりではなく、中古住宅を積極的に購入してそこにリノベーションを施す、という選択を広めていくことが必要ですね。


C、安い中古物件(未リフォーム)が市場に出回る→数ある物件の中から施主が選択できて、そこに施主のスタイルに合わせたリノベーション施工がされる。
がもっと活発になって欲しいですね。

但し今現在新築市場はリノベ市場より遥かに大きいです。なので「家を買うなら新築こそ最高!」という価値観を覆すことは難しそうです。(広告費のかけ方がぜんぜん違うもんね)

今、中古市場の拡大と一次取得層に対する住宅取得の選択肢を提供、という意味を含めて頑張ってるのはアルティザン建築工房スミタスジョンソンホームズあたりでしょうか。
土屋ホームトピア住友不動産の新築そっくりさんはどちらかと言うとすでに住んでる物件に対するリフォーム提案、といった側面が強いように思えます。

そして北海道未上陸の
リノベる
re住むリノベーション
など道外勢の進出状況も気になります。

何れにせよ今後は中古住宅をどうするか、という問題は住宅業界全体を覆う問題になるはずです。
消費者側からすると優良な住宅を手に入れる選択肢の幅が広がるのは歓迎すべきことですよね。